冷凍庫のコロッケを電子レンジで温めるだけで食べられるようになったのは、1994年のことです。まだ30年ほどの歴史しかありません。

冷凍コロッケは、もともと自分で揚げる食べものだった

日本で家庭向けの冷凍食品が試売されたのは、1948年のことです。東京・日本橋の百貨店で、日本冷蔵(現在のニチレイフーズ)が「ホームミート」と「ホームシチュー」を売り出しました。

それから20年近くたった1960年代半ばには、冷凍コロッケのように、買ってきたあとに自分で揚げて仕上げるタイプが主流でした。業界では、こうした商品を「油調品」と呼びます。

電子レンジが広がっても、レンジ用の冷凍フライはまだなかった

家庭用の電子レンジが発売されたのは1966年ですが、当時は非常に高価で、一般の家庭に広がり始めたのは1970年以降です。ところが、電子レンジ用の冷凍フライが登場するのは1994年です。レンジが広がり始めてから20年以上、レンジで食べられる冷凍フライはなかったことになります。

「揚げるのは面倒」という声から生まれた

1994年に発売された電子レンジ対応のコロッケは、「電子レンジ用フライのはじまり」とされています。きっかけは、「油を使って揚げるのは面倒」という消費者の声でした。

解凍するだけの冷凍食品も登場

1999年には、食べるまで器具もエネルギーも使わない「自然解凍」の調理冷凍食品が発売されました。自分で揚げる、レンジで温める、解凍するだけと、家庭でかける手間は段階的に減ってきたことになります。

手間が減ると、油は見えにくくなる

ここからは事実ではなく、私の見方です。自分で揚げるなら、鍋に油を注ぐところから目に入ります。レンジで温めるだけならその場面はなく、解凍するだけならなおさらです。

手間が減るのは助かりますが、油と向き合う場面が減るぶん、揚げ物を食べた回数も数えにくくなっているのではないでしょうか。

冷凍の揚げ物を買ったときは、パッケージの裏にある栄養成分表示で、脂質の欄を一度見てみてください。自分で揚げていないぶん、そこが油の量を確かめられる場所の一つになります。